アルバム・レビュー Mechatok - Wide Awake [Young / Beatink 2025]
https://www.ele-king.net/review/album/011899/
PERSOANL CLUβ
2021年コロナ真っ只中の抑圧によって狂躁するクラブやレイヴへの反動から生まれ、よりパーソナルな空間への没頭を試みるべく始動したmelting bot主宰のリスニング指向の電子イベント・シリーズ。ダンスから空間へと向かう20年代アンビエント・モードやサウンドスケープを表現すべくE.O.Uとのシークレットの野外集会を皮切りに、ネット由来のサンクラ・ラップからオーガニック指向のオブスキュア・ミュージック、室内音楽の象徴でもあるエレクトロニカをキーワードとしたY2K期における電子音楽のレジェンド達を交え、作品を題材としたコンサートとしての電子音楽へとフォーカスしながら独自のキュレーションを見せている。
PERSONAL CLUβ -E.O.U - E21 secret gathering-
PERSONAL CLUβ -E.O.U - estream release party-
PERSONAL CLUβ -Bloodz Boi-
PERSONAL CLUβ -Tujiko Noriko & Joji Koyama-
PERSONAL CLUβ -CS + Kreme-
PERSONAL CLUβ -Salamanda & LAUSBUB-
PERSONAL CLUβ -Masayoshi Fujita & Jan Jelinek-
PERSONAL CLUβ -Herbert & Momoko-
PERSONAL CLUβ -MECHATOK-
presented by melting bot
MEACHATOK [DE]
メカトックことエミル・ティムール・トクデミルは、世界各地でのライブや、ドレインギャング(Bladee、Ecco2k、Whitearmor、Thaiboy Digital)、チャーリー xcx、フェイクミンクといったこの10年で最も先鋭的なアーティストたちとのコラボレーションを通じて、ここ10年間クラブ・ミュージックとポップの方向性を形作ってきた。ロンドン・アンダーグラウンドで一番注目を集めていると言っても過言ではない天才ラッパー、フェイクミンク、エコー2kとのシングル「MAKKA」をリリースし、それがPitchforkの「Best New Music」に選出されて世界的な認知をさらに広げると、2025年に東京ドームで開催された新日本プロレスによる1年で最大規模の大会、レッスルキングダムのメイン・イベントを飾り、見事防衛を果たした現IWGP世界ヘビー級チャンピオン、ザック・セイバーJr.の入場曲に使われ、ここ日本でも話題になった。
そんなメカトックの待望のデビュー・アルバム『Wide Awake』は、精密でありながら感情的な直感にも富んでおり、アルゴリズムやデジタル過剰刺激によって形作られた現代において「アイデンティティ」「本物らしさ」「表現」といったテーマを探求している。ブレイド、エコー2k、イザベラ・ラブストーリー、Tohji、f5veなど、世界各地から厳選されたアーティストたちを迎えたこの作品は、メカトックを「引っ張りだこのコラボレーター」という枠を超え、自らの声を完全にコントロールするソロ・アーティストとして位置づける未来志向のアルバムに仕上がった。彼はポップの要素を極限まで純化し、それを中毒性のある、パーソナルなマントラの断片へと昇華させる。その断片は儚いようでいて、どこか永続的な感覚を伴っており、メカトックというペルソナを通して、逆説的に、より親密で時代を超えた表現のかたちにアクセスしているのだ。


