革新的なサンプリングの実験性で鬼才の敬称に最も相応しい電子レジェンドの一人Matthew HerbertがMomoko Gillとの最新アルバム『Clay』を携さえた6年ぶりとなるジャパン・ツアー
東京公演は最新作を軸にハーバートの名曲も交えたドラムとボーカルありのデュオ・ライブを披露、前回のJan Jelinekに続くmelting bot主宰の電子音楽イベント・シリーズPERSONAL CLUβにて開催。追加アクトは後日発表。数量限定の早割とU25が即時販売。
Matthew Herbert + Momoko Gill インタビュー @AVE
https://ave-cornerprinting.com/matthew-herbert-momoko-gill-06272025
Hebert & Momoko
Matthew Herbertとドラマー/ボーカリストのMomoko Gillは、2025年6月にStrutより新作アルバム『Clay』のリリースをした。ソウルフルでしなやかなコラボレーション・アルバム『Clay』は、ダンスフロアと深夜の内省的なムードの間を軽やかに行き来する。ハーバートの1998年の象徴的なアルバム『Around The House』を彷彿とさせつつ、魅力的な新たな方向へと飛び立つ。機敏で心を開いた本作は、英国で最も先進的な二人のアーティストによる、スリリングで音的に冒険的な作品だ。
Herbertの軽快なプロダクションと、Momokoの巧みなメロディ作りの独創性を軸に展開する『Clay』は、シンプルでありながらリズム的に複雑。日本の琴からバスケットボールまで、様々な音源を採り入れ、紛れもない有機的な質感を生み出している。
独自のサンプリング技術、ライブ即興演奏、豊かで広がりのあるアレンジを融合させた本作は、Momokoの親密なボーカルパフォーマンスによって高みへと昇華される。11曲にわたるアルバム全体で、彼女は「Mowing」の陶酔的な憂愁から情感あふれるデュエット「Heart」まで、翼を広げて舞い上がるように歌い上げる。
先行シングル「Babystar」「Need to Run」「Someone Like You」に続き、『Clay』は2024年にリリースされたデビュー・コラボレーション作品『Fallen』と、Herbertの「The Horse Is Here」をMomokoがリミックスした作品に続く作品となる。しかし、『Clay』がHebertとMomokoの初のフルアルバム作品であるにもかかわらず、音の境界を押し広げるという二人の共通の情熱は、これまでのそれぞれのキャリアにおいて重要な役割を果たしてきた。
Herbertにとってそれは世界を楽器として扱い、リビアで爆発する爆弾の音、馬の骨格、トニー・ブレアのために用意された食事の上を走る戦車、2万匹の犬、245軒の店、その他無数の音など、あらゆるものを使って音楽を作ることである。彼のアルバム『ONE PIG』は、豚の誕生から食卓に並ぶまでのライフサイクルを追った作品であり、今世紀で最も野心的かつ挑発的な電子音楽のひとつとして、彼を唯一無二の作曲家、アーティスト、プロデューサーとして確固たる地位に押し上げた。
ドラムと作曲を独学で習得したMomokoの『Clay』への道程も同様に実験的だった。南ロンドンの多分野にわたる音楽シーンで経験を積み、新たな挑戦を受け入れCoby Sey、Tirzah、そしてAlabaster DePlumeらとコラボレーションを重ねてきた。ドラムとボーカルを主な表現手段とする一方、詩人/ラッパーのNadeem Din-GabisiとのユニットAn Alien Called Harmonyによる2024年のEPでは、彼女のマルチインストゥルメンタリストとしての才能が存分に発揮された。ジャンル間の摩擦の中で、彼女は今もなお自らのスタイルを磨き続けている。
互いの音に対する直感的な理解を基盤に、『Clay』は音楽的感性が共鳴し合う出会いであり、その相乗効果は各々の才能の総和を遥かに超える。まるで生涯を共に演奏してきたかのような二人のアーティストによる、驚くほど新鮮で美しく構想された作品である。