東京拠点の4人組バンド・水いらずが"アジアの音楽"をテーマに掲げて制作した約5年ぶりの2ndアルバム『水を捨てよ、内へ還ろう』が、耳の早いリスナーの間で静かに評判を呼んでいる。アジア各地の旋律やリズムを取り入れたそのサウンドは、異国の鼓動と東京のアスファルトが同時に鳴るような音像として立ち上がり、都市に生きる人間の祈りのようでもある。
10月26日(日)、渋谷WWW。この夜、水いらずはアルバム『水を捨てよ、内へ還ろう』の世界を、キャリア史上最大のステージで再構築する。共演には、この作品の制作を通じて彼らが深い共鳴を覚えた3組のアーティストが集う。
■水いらず

水いらずはこの夜、メンバーの4人に加え、パーカッションやゲスト・ヴォーカルなど総勢10名による特別編成でのパフォーマンスを予定。都市に生きる身体と記憶を通過するようなアジア的旋律とリズムが、渋谷WWWの空間に鳴り響く。
"水を捨てよ"とは何か。
"水いらず"とは何者なのか。
そして、アルバム最終曲で繰り返される"水はいらない"とは何なのか。----その答えをぜひ会場で目撃してほしい
■ 幽体コミュニケーションズ

京都で結成された3人組バンド。フォークやヒップホップなど様々な音楽を圧縮コピーして混線させたチープでストレンジなサウンドの上に、男女混成によるあどけない歌声と四季に呼応する詩世界を同居させている。2023年にはミニアルバム『巡礼する季語』のリリース記念公演に水いらずが出演。その後も交流を深め、水いらずの新作アルバムにはpaya(vo,gt)との共作曲「hanasu」が収録されている。水いらずの井上真(vo,gt)による日記をもとにpayaが作詞を手がけ、そこにバンドとしてのサウンドとメロディを加えて楽曲が完成。payaはゲスト・ヴォーカルとしても本曲に参加した。2025年5月、待望の1stフルアルバム『文明の欠伸』を発表。
■ 磯田健一郎

1984年に日本のアンビエント・ミュージックを代表する名盤『オシレーション・サーキット』を発表、一躍その名が知られる。以降アンビエント/環境音楽の分野でも活動を続け、日本のニューエイジ/ヒーリングミュージック黎明期を支えた。またプロデューサーとして芸術祭賞受賞作を含む多数のアルバムを制作。沖縄映画『ナビィの恋』で毎日映画コンクール音楽賞を受賞。近年過去作品の再発をきっかけに再評価の声が高まり、現代の感性と響き合う静謐な音楽世界を展開。水いらずの新作アルバムにも、磯田が長年取り組んできたアンビエントやニューエイジといった音楽からの影響が感じられる。この日は、日本屈指のフルート奏者・木ノ脇道元とのデュオで出演。『マジエルのまどろみ』『プリオシンの浜辺』の2作から、ニューバージョンを交えた特別セットが披露される予定だ。
■ vq
ネカフェやコインランドリー、スーパー銭湯、友人宅などを拠点に活動するアーティスト。アニメ『タコピーの原罪』エンディングの公式リミックス、BALMUNG 2025 S/Sでの音楽制作とモデル出演、ゆるふわギャング主催の「PURE RAVE」、中国・広州で開催された626company主催イベント「无题一」、AVYSSレーベルのコンピレーション『i.e』など、ジャンルや地域を越えて活動を広げてきた。複数台のiPhoneを駆使した即興的なライヴ・パフォーマンスは、その身体性とともに独自の臨場感を生み出す。デジタルとアコースティックの感触がせめぎ合うその表現は、水いらずのコラージュ的なアプローチともどこか共鳴している。


