都会の雑踏へと注ぎ込む風流の木漏れ日、現代の憩いを求め"Balearic Park"が渋谷WWWにて開園。第一回はLAのSuzanne Kraft 、メルボルのAndrás (Andras Fox)、そしてアントワープのLieven Martens Moana (Dolphin Into The Future)とTyphonian Highlife (Monopoly Child Star Searchers)、Rainbow Disco ClubのレジデントDJ KikiorixとSisi等を迎え、ディスコ/ハウスとアンビエントが交わる、今春のGigi Masin東京公演に続くこの秋の新風景。
今春初来日を果たしたイタリアの伝説Gigi Masinの東京公演をきっかけに生まれた"Balearic Park"。ハウスとアンビエントが並走する新世代の二代プロデューサー/DJ、LAのSuzanne Kraft、本邦初のライブ・セットを披露するメルボルンのAndras Fox、現代へとニューエイジを呼び覚まし、ハードコア・アンビエントとも称されるベルギーの電子音楽家、元Dolphin Into The FutureのLieven Martens MoanaとJames Ferraroとのユニットも組んでいた元Monopoly Child Star SearchersのTyphonian Highlife、国内からは海外へも進出し、現行のディスコ/ハウスも牽引する新定番のフェスティバル〔Rainbow Disco Club〕のレジデントKikiorixとSisi、国内外からアンビエントを核に数々の作品を発表して来た実験音楽家chihei hatakeyamaとhakobune、そして"Good Mellows"と題し、新たなるバレアリックを提唱する〈SUBURBIA〉の橋本徹を迎え、WWWとWWWβにて同時に展開される2つのエリア、ダンスとアンビエントを通じ、現行のクラブ・ミュージックの高揚とエレクトロニック・ミュージックの風情を体現した、郷愁へと誘われる混沌の時代を癒すべく現代の"バレアリック"*がここに浮上する。
*バレアリックとは?:1980年代の終わり頃より、ダンス/パーティー・カルチャーの聖地として発展したスペインのイビサ島で生まれたダンス・ミュージックのスタイル。特定のカテゴリにこだわらず、オープンマインドな精神に基づいたミクスチャーな選曲が特徴。パーカッシヴなもの、ユーロ・テイストなものが望ましい。基本的にテクノ、ガラージと定義できるものには使わない。「クラブミュージックの文化史」より
Suzanne Kraft / スザンヌ・クラフト [Melody As Truth / Kitjen / from Amsterdam / LA]
LA出身、現在はアムステルダムを拠点に活動するプロデューサー/DJ。マスキュラーなグルーヴというより音楽的な美しさから醸されるレイドバックでオーガニックなサウンドはここ数年で最も注目すべき一人であり、LAで生まれ育ったその湿度と太陽は自身のDJと作品に大きく表れている。サックス、ギター、ベース、キーボードを学ぶものの、コンピューターでの制作においてのワンマン・バンドの可能性に惹かれ、、ダンス・フロアに真の美しさをもたらす恍惚としたスロー・モーションの旋回を軸に、これまでに〈Running Back〉、〈Melody As Truth〉、新鋭〈Kitjen〉や〈P&D〉、本名名義では〈Future Times〉から、ニューエイジ~バレアリックのカラフルな風合いと酩酊感に包まれたエレガントなハウス/ディスコとアンビエント作品をリリースし、2015年のデビュー・アルバム『Talk From Home』、2016年のセカンド・アルバム『What You Get For Being Young』共に各媒体の年間ベストに挙げられ、〔Dekmantel〕を軸に欧州の主要ダンス・ミュージック・フェスティバルにも出演、DJとしても絶大な信頼と評価を得ている。またGigi Masin (Music From Memory)参加のユニットGaussian Curveのメンバーでもある盟友Jonny Nashとのコラボレーションで最新作を発表した。
https://soundcloud.com/suzannekraft
Andras Fox / アンドラス・フォックス [from Melbourne]
オーストラリアはメルボルン出身、現在も拠点とするプロデューサー/DJ。 DJでコレクションしていたレコードのサンプリングとMPCで音楽制作を始め、2011年にデビュー、2012年にEPやボーカルとの共作を立て続けに発表。 その後サンプリングを主体とした構成からヴィンテージのアナログ・シンセへと移行、アーバン・メローを軸にフィールド・レコーディングを織りまぜたバレアリックなファンクやハウスを発表し、インディーズからハウス /ディスコといったクラブ界隈のシーンを跨ぎ人気を博す。 2013年には同郷の盟友オスカーと共作『Embassy Café』を発表、また女性シンガー、スウィと共に来日を果たしている。2014年の地元メルボルンの〈Home Loan〉からのEP『Erskine Falls』とNYの〈Mexican Summer〉からのEP『Vibrate On Silent』、そしてニューエイジの醍醐味だと語る、別名儀アート・ウィルソンでのプライベート・リリース『Overworld』が大きな反響を呼び話題となる。 オスカーとの2枚目となる共作『Café Romantica』ではよりソウルへ接近。ここ数年ではジャングルやシカゴ・ハウスへとロウなサウンドへと傾倒、その一方で友人のJohn TannerとWilson Tannerという名前でよりオーガニックなアンビエントを作品を発表している。アナログ・ヴィンテージの温かくハンド・クラフトなサウンドのシンセ・ファンクやハウス~アンビエントを展開し、 環境音楽、ラウンジ、アーバン・ミュージックとしてのニューエイジやバレアリックを現代へと呼び起こす逸材であり、また地元では自身のラジオ番組を持つほどのバイナル・ディガーであり、DJとしても大きな注目を集めている。
https://soundcloud.com/andraaaaaas
Lieven Martens Moana / リーヴォン・マーティンス・モアーナ (ex Dolphin Into The Future) [from Antwerp]
ベルギーはアントワープを拠点とする実験電子音楽家/環境音採集家。00年代後期よりDolphins Into The Futureで活動し、10年代にUSインディの系譜から浮上した新世代のニューエイジの旗手として〈Not Not Fun〉、〈K-RAA-K〉、〈UNDERWATER〉からリリース、そのフィールドレコーディングによる天然音とアンログ&デジタルなエレクトロニクスをコラージュし掛け合わせた楽園的なサウンドスケープはハードコア・アンビエントと称されるほど、音楽ファンや好事家の間で圧倒的な支持を得ている。2017年の『Idylls』では渡嘉敷島での環境音源を中心にピアノや電子音が大自然に溶け込む淡く美しいサウンドスケープを披露。日本では愛称「イルカおじさん」とも呼ばれる親しまれ、最新作『Three Amazonian Essays』を大阪の〈EM Records〉からリリース予定。今作はFinis Africaeによるアマゾン探検を題材にした伝説的密林名盤『Amazonia』を丸ごと音素材にしてしまった作品で、更なる仮想アマゾン探検盤となっている模様。 Edicoes CNとしてレーベル運営も行う。
Typhonian Highlife / タイフォニアン・ハイライフ (ex Monopoly Child Star Searchers) [from Antwerp / US]
米国生まれベルギー在住の奇才音楽家スペンサー・クラークによる新名義。James Ferraroとの伝説的ユニットのThe Skatersをはじめ、 Mark McGuireやDucktailsとの名ユニットでも知られ、ソロとしても Monopoly Child Star Searchersを始め多くの名義を持つ。2016年に本名 名義で『The Stimulated Australia』を発表。オーストラリア滞在中に採 取された環境音を用いた作品で、自然豊かな天然音からショッピング モール館内の空気も吸い込んだ緩やかなニューエイジな傑作盤で高 評価を獲得。また同時期発表のTyphonian Highlife名義の『The World of Shells』では打って変わり、電子音が飛び跳ねる未知なる異郷へと 誘う驚異盤となり、Sun Arawのレーベル〈Sun Ark〉からも再発された。
http://www.pacificitysoundvisions.com
Kikiorix [Rainbow Disco Club / VIS REV SET]
Tresvibes SoundsystemとしてSatoshi Otsuki、DJ PI-GEと共に活動中。都内を中心に様々なクラブでプレイ し、Rainbow Disco Club、Womb Adventure、Fuji Rock Festivalなどのフェスティバルにも出演してきた。また 海外でも、Rush HourとRainbow Disco ClubがコラボレートしたSomewhere in Amasterdam at OT301を始め、 Fabric London、THE END/AKA London、Space Ibiza、Tresor Berlinなど各国のクラブでプレイしてきた経験を 持つ。2000年代にはロンドンを拠点としTomoki Tamuraと共にHOLICのレジデントとしてDJ経験を積んだ。そ の時のイーストロンドンでの様々な場での経験が現在のプレイスタイルに色濃く反映されている。音楽制作では これまでに12インチEPを2枚、アルバムを1枚発表。Tresvibes SoundsystemとしてはVIS REV SET by Tresvibes を立ち上げ、12インチEPをリリースしている。
https://soundcloud.com/kikiorix
Sisi [Rainbow Disco Club]
東京屈指の酸過多地帯に生を受け、サイケデリック・カルチャー影響下DJ集団/レーベル〈Timothy Really〉発足。新世紀初頭、第一次ミニマル隆盛期、西麻布Space lab Yellowから発祥したレジェンドパーティーReal Groovesのレジデントを担う。人類史25万年、古から続くダンスへの衝動とダンスミュージックの血脈への興味をさらに斜めから深め、DJ Pige、Ryo Murakamiとのヴァイナルレーベル〈pan records〉のA&Rや、今はなきユースカルチャー秘密の源泉渋谷SECOBARのブッキングを担う。それら無節操な音楽遍歴、体験によって抽出されたディスコ、イタロ、クラウト、ニューウェーヴ、ワールドミュージックからの何かを4/4キックとハウスブレンド、現行コズミックスタイルを築くべく2017年現在、未だ見ぬ未知なるグルーヴに恋焦がれ、日本発未来経由の世界基準Rainbow Disco Club、〈mule musiq〉のレジデントととして日々精進中。
https://soundcloud.com/resident-advisor/ra566-sisi
chihei hatakeyama [Room40 / White Paddy Mountain]
Chihei Hatakeyamaとして2006年にKrankyより、ファーストアルバムをリリース。以後Room40, Home Normal, Own Records, Under The Spire, hibernate, Students Of Decayなど世界中のレーベルから現在にいたるまで多数の作品を発表。デジタルとアナログの機材を駆使したサウンドが構築する美しいアンビエント・ドローン作品が特徴。ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカ、韓国など世界中でツアーを敢行し、To Rococo Rot, Tim Heckerなどと共演。NHKのEテレ「schola 坂本龍一音楽の学校シーズン3」にて、アルバム『River』収録の"Light Drizzle"が紹介され、坂本龍一、岩井俊二らからその場を空気を一変させる音楽と評される。映画音楽では、松村浩行監督作品『TOCHKA』の環境音を使用したCD作品「The Secret distance of TOCHKA」を発表。第86回アカデミー賞<長編ドキュメンタリー部門>にノミネートされた篠原有司男を描いたザカリー・ハインザーリング監督作品『キューティー&ボクサー』(2013年)でも楽曲が使用された。またNHKアニメワールド:プチプチ・アニメ『エんエんニコリ』の音楽を担当している。ソロ以外では伊達伯欣とエレクトロ・アコースティックデュオOpitopeとして、SPEKKから2枚のアルバムをリリース。佐立努とのユニットLuis Nanookでは電子音と伝統的なフォークサウンドが混ざり合う音楽世界で2枚のアルバムをリリース。ASUNA、Hakobune等ともコラヴォレーションアルバムを発表。マスタリング・録音エンジニアとしても、自身の作品のみならず、100作品以上を世に送り出している。2013年にはレーベルWhite Paddy Mountainを設立しShelling, Family Basik, neohachi, Federico Durand, suisen, Satomimagaeなどをリリースしている。
hakobune
兵庫県出身の音楽家。レイヤーを重ね合わせ音風景を描く。2007年よりhakobune名義で活動を開始し、これまでに62作のフルアルバムを各国のレーベルから発表している。
2016年には廃盤の音源をコンパイルした6枚組のCDボックスが京都のshrine .jpからリリースされた。
橋本 徹 [SUBURBIA]
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。サバービア・ファクトリー主宰。渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは340枚を越える。USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://music.usen.com/channel/d03/