レイディース・アーンド・ジェントルメン、アー・ユー・レディ?アイム・レディ
「やっぱファンキーにセクシーにきめたいじゃない?」
個人史的な暗黒時代とも言える2016年の暮れ、2年振り通算4度目のワンマン公演を行い100点中81点の出来ばえで終えることの出来た私ことオレ藤井洋平は、終わり善ければすべて善し、とひとりごちつつ冒頭のカッコに綴じられた文句が曼珠沙華のようにオレの脳髄に花開くのを*確かに*感じた。
ワンマンライブの長時間のステージングによる自分とバンドメンバーとオーディエンスの三角錐の発する熱で脳が溶解してただの脂となり、空洞となった頭蓋のなかでそれがタプタプ揺れている感覚も素敵だけれど、あまりやり過ぎるとバカになる可能性が高い。なので、もうひと組招いて多少の余裕をもった濃密な空間を過ごすべきだと、もはや液体と化したかもしれない前頭葉が囁いた。
そこでVIDEOTAPEMUSICくん。彼のエレガントさとオレのスウェッティなファンクネスで、一匹のタイガーが黒人の子供を大きな木の周りをグルグル追い回してバターになったという信じがたいフェアリーテイルを愚直に信じて、オレたちも渋谷で溶けあいたい。レディ?
藤井洋平
シンガー。まじでリアルでファンキーな音楽家。精神的な放浪期を経て'07から歌い始める。'11に「この惑星の幾星霜の喧騒もも少しだったら終わるそう」を完全自作自演による演奏で発表。その後、バックバンドThe VERY Sensitive Citizens of TOKYOを結成。'13に彼らととともに2nd「Banana Games」を録音。CDと2LPでリリース。'16、TVSCOTにDorian加入、高音の煌びやかさと伸びやかさを得てgoes on, now!!
(Photo by 南阿沙美)
VIDEOTAPEMUSIC
地方都市のリサイクルショップや閉店したレンタルビデオショップなどで収集したVHS、実家の片隅に忘れられたホームビデオなど、古今東西さまざまなビデオテープをサンプリングして映像と音楽を同時に制作している。VHSの映像とピアニカを使ってライブをするほか、MV制作、VJ、DJ、イベントのオーガナイズなど活動は様々。MVでは盟友ceroを始め坂本慎太郎、小島麻由美、NRQなどジャンルレスに手がける。ほかにもモデル、女優の菊池亜希子のムック本「マッシュ」のCM映像、楽曲も製作。ライブにおいては、クラブシーンからインディペンデントシーンまで幅広く活動。ダンスミュージックとしての下地に、近年盛り上がりを見せつつあるムード音楽やラウンジミュージックの文脈から繰り出すポップでメロウなメロディは絶妙であり、映像のセンス含め、まさに洒脱な音楽を作り出している。満を持してカクバリズムよりリリースした2ndアルバム「世界各国の夜」は全国各地で大好評ロングセールス中。昨年5月に配信限定リリースをしたシングル「Sultry Night Slow」は、今年の夏と〜遠い夏の想い出〜をリンクさせてくれる、淡くも甘いロマンスに溢れた楽曲になっている。
映像のみならず音楽との双方向でゆらゆら踊れる夜を演出する、そんな素敵な男がVIDEOTAPEMUSICである。