Elle Teresaと柴田聡子がWWW & WWW Xのアニバーサリー公演で初共演!
Elle Teresaと柴田聡子。両極端にいるようにも見える二人の女性アーティストだが、両者に共通している点は「自分自身を、緻密な歌詞に乗せて表現すること」にある。柴田聡子が2024年にリリースしたアルバム『Your Favorite Things』では、日常のなかにあるちょっとした違和感やわずかな痛み、切なさを切り取って繋ぎ合わせながらそれぞれの楽曲を完成させてゆく。例えば「目の下」にあらわれる"冷蔵庫の開け閉め大きいだけで怖い"という表現は、まるで自分と相手の間に生じる絶妙な距離感が滲み出て来るような見事な一行だ。一方、Elle Teresaは同じく2024年に発表したEP『Suki』に収録した「Sensei」で、"なれないあなた、私の薬箱"とラップし、意中の相手とのトキシックな関係を間接的に(それでいて赤裸々に)彼女なりの表現を使って憂う。溢れ出る思いを、それぞれの言葉とセンスで繋ぎ合わせる彼女たちの作品は、ひょっとして大いに共振するのではないか。
そんな二人が初めての共演を果たす2マンライブ。二人が放つ言葉の持つ力強さや曖昧さに包まれ、勇気づけられる一夜になるだろう。この日、柴田聡子はバンドセットでステージに臨む。アンサンブルの妙も味わい尽くして欲しい。
Text:渡辺志保
Elle Teresa
個性的なフローと遊び心のあるリリック、独自のファッションセンスで同性から圧倒的な人気を誇るラッパー、Elle Teresa。
1997年、静岡県沼津市生まれ。2015年からラッパーとして本格的な活動を始め、2016年1stミックステープ『Ignorant Tape』を発表。2018年には2023年まで続く3部作となるアルバム『KAWAII BUBBLY LOVELY』をリリースし、着実にアーティストとして不動の地位を獲得。その後も大型の作品を立て続けに発表し、客演にはTohjiやChoppa Caponeなど国内で人気のラッパーだけでなく、Lil Keedなど海外アーティストとの共同制作も積極的に手がけている。
等身大のキャラクターから生まれる大胆かつ繊細なリリックは、同年代やティーンの同性ファンの共感を呼び、日本各地で行われるライブは同性ファンを中心に大きな盛り上がりをみせている。2023年からはPOPYOURSなど大型フェスへの出演に加えて、YoutubeやTikTokなどでの活動も積極的になり、他の女性アーティストとは一線を画した独自の地位を確立している。
Elle Teresa - LOVE (with Choppa Capone)
シンガー・ソングライター/詩人。北海道札幌市出身。武蔵野美術大学卒業、東京藝術大学大学院修了。
2010年、大学時代の恩師の一言をきっかけに活動を始める。
2012年、三沢洋紀プロデュース多重録音による1stアルバム『しばたさとこ島』でアルバムデビュー。以来、演劇の祭典、フェスティバル/トーキョー13では1時間に及ぶ独白のような作品『たのもしいむすめ』を発表するなど、歌うことを中心に活動の幅を広げる。
2016年には第一詩集『さばーく』を上梓。同年、第5回エルスール財団新人賞<現代詩部門>を受賞。詩やエッセイ、絵本の物語などの寄稿も多数。2023年、足掛け7年にわたる文芸誌『文學界』での連載をまとめたエッセイ集『きれぎれのダイアリー』を上梓。雑誌『ユリイカ』で特集が組まれるなど、詩人としても注目を集めている。
自身の作品発表以外にも、楽曲提供、映画やドラマへの出演、ミュージックビデオの撮影・編集を含めた完全単独制作など、その表現は形態を選ばない。
2024年、最新アルバム『Your Favorite Things』をリリースした。
柴田聡子 - Movie Light